タナゴウキの浮力バランスの調節について考える

 

タナゴ釣りでウキのバランスは、大事な要素のひとつです。

 

ウキの頭を水面に出すのか、沈めるのか、水中で止めるのか…

 

この記事ではどんなバランスが良いのか、解説してみたいと思います。

 

 

タナゴウキのバランス調整パターンは3つ

 

 

ウキのバランスは大きく分けて3パターンに分けられます。

 

  1. プラス(ウキの頭を水面に出した状態)
  2. マイナス(ウキを水中に沈めた状態)
  3. ゼロバランス(水面直下で停止した状態)

 

それぞれのパターンについて、ざっと解説してみます。

 

プラス

 

プラスのバランスというのはヘラウキや玉ウキのように、水面にウキの頭(トップ)が出ている状態です。

 

タナゴ釣りなら唐辛子ウキの頭が水面に出ている状態のことですね。

 

 

プラスのバランスにするメリットは…

 

  • 流れのあるポイントで使いやすい
  • ウキが遠くにあっても見やすい

 

といったところでしょうか。

 

個人的にプラスは使う機会は少ないです。

 

 

デメリットとしてはウキが沈まないので、ウキ下より下のタナ(レンジ)は探れません。

 

短竿でのタナゴ釣りでは、あえてプラスのバランスにするメリットは薄そうです。

 

マイナス

 

タナゴ釣りでメインに使うバランスは、やはりこのマイナスでしょう。

 

ウキがゆっくり沈むようにオモリを調節する方法です。

 

 

マイナスのバランスのメリットは…

 

  • 沈むので探れるタナが増える
  • 沈む速度は自由に調節可能
  • アタリのバリエーションが増える

 

こんなところでしょうか。

 

ウキを沈めることでウキ下よりも下のタナにエサが届くので、ヒットゾーンを増やすことができます。

 

正解のタナを探り当てるスピードを上げることができますね。

 

 

沈める速度も意外と重要で、ゆっくり沈めた方がいいときもあれば、速めにした方がいいときもあります。

 

速めに沈めることでウキの沈みが止まる「止まりアタリ」が取りやすくなったり、沈むスピードで魚にアピールすることもできます。

 

反対に冬場など活性が低いときは魚がエサを追いきれなくなったりするので、速すぎには注意が必要ですが。

 

冬場はよりゆっくり沈める、通称「超スロー」や「デッドスロー」といった沈め方が多くなります。

 

 

アタリのバリエーションというのは、プラスのバランスでは出ない「止まりアタリ」が取れることです。

 

タナゴは落ちてくるエサに反応して食い止めすることがよくあるので、このアタリが取れるようになると数が伸びます。

 

ゼロバランス

 

3番目はゼロバランスです。

 

ゼロバランスは、いわゆる沈みもせず浮きもせずというバランスです。

 

このバランスを使うのは一定のタナでウキを沈めずに釣りたいときですね。

 

ゼロバランスを使うシチュエーションははっきり言って少ないですが、ハマったときの強さはかなりのものです。

 

使うシチュエーションは主に、新子のシーズンと真冬です。

 

 

ゼロバランスのメリットは…

 

  • 落ちてくるエサに反応しないときに効果的
  • 一定のタナでしかアタリがないときにダイレクトに攻められる

 

といったところです。

 

 

個人的には2番目が強いポイントだと思いますね。

 

冬場は特にですが、タナゴの反応するタナは意外と狭かったりします。

 

超スローで落としてまた入れ直す…というのを繰り返すよりも、タナが狭いならそのタナをダイレクトに打った方が効率がいいです。

 

 

ただデメリットもあって、最初からゼロバランスでスタートしてしまうと探れるタナを狭めてしまうため釣れなくなります。

 

番外編:人工ゼロバランス

 

見出しだけでは意味不明ですが…(笑)

 

人工ゼロバランスというのは、水面の表面張力を使ってゼロバランスにすることを言います。

 

(勝手な造語です…)

 

 

人工ゼロバランスは、わざわざゼロバランスに調節するのは面倒くさいけど、ゼロバランスにしたいというときに威力を発揮します。

 

特に冬場の食い渋りの時にハマると、すごい釣果をたたき出すこともあります。

 

 

使う仕掛けは超スロースピードに調節してある仕掛けです。

 

釣りをしていると水面の微量なゴミや油分で道糸が沈まないときがありますよね??

 

人工ゼロバランスはこれを利用します。

 

 

超スローの仕掛けは、少しでも表面張力に引っかかると沈まなくなるというデメリットがあります。

 

道糸をわざと表面張力に乗せることで、親ウキだけがわずかに沈んだ状態を作ります。

 

この状態が人工ゼロバランスです。

 

道糸を少しでも動かすと道糸が沈んでゼロバランス状態が解除されてしまうので、道糸は動かしません。

 

 

人工ゼロバランスは道糸を張ってウキの沈降を止めているわけではないので、アタリは普通のゼロバランスと同じように出ます。

 

毎投ゼロバランス状態を作れるようになると、そのタナにタナゴが集中しているときにアタリを連発させることができます。

 

タナゴ釣りにおける最も効率のいい浮力バランスを考える

 

 

浮力バランスの重要性を考えさせられるのは、やはり冬場でしょう。

 

冬はタナゴが群れているため釣りやすいとはいわれますが、厳寒期だけに難易度はどうしても高くなります。

 

暖かい時期はマイナスのバランスでスローかやや速めにしておけば、ほぼ問題ないです。

 

タナゴのいるタナが極端に狭いということもないので、多少の沈降スピードの差は魚の活性がカバーしてくれます。

 

 

というわけでしっかり考えて調節する必要があるのは、冬場の浮力バランスです。

 

厳寒期で水温が低く活性も低いときは、速く沈めるとタナゴはなかなかエサを追ってきません。

 

かといってゼロバランスでスタートすると、探れるタナが狭くなってしまいます。

 

そのためスタート時の浮力バランスは「超スロー」が無難です。

 

できるだけゆっくり沈めてアタリが出るタナを探っていくのがいいですね。

 

 

超スローで釣れ出したら、タナを微調整していきます。

 

ウキがなじんだタイミングでアタリが出ると、手返しが速くなって数を伸ばせます。

 

ウキが少し沈んだときにアタリが出るように、調整するといいでしょう。

 

 

アタリが出る(タナゴがいる)タナがある程度分かれば釣果が見込めます。

 

もしアタリが出る層を通り過ぎてしまうことが多かったら、活性が低い可能性があるので人工ゼロバランスを使います。

 

魚がいる層をピンポイントで狙うためです。

 

ゼロバランスにするとエサがそのタナで停止するので、通り過ぎてしまうリスクを軽減することができます。

 

超スローのままで釣れるのが一番釣りやすいですが、冬場はタナが狭いことも多いのでゼロバランスが威力を発揮してくれます。

 

人工ゼロバランスなら仕掛けを変えたりオモリ調整をやり直したりする手間がないので便利です。

 

活性が低いとき、タナゴのタナが狭いときは「人工ゼロバランス」を使うといいでしょう。

 

 

冬場のタナゴを攻略するポイントのひとつは、タナゴがいるタナを正確に掴むことです。

 

道糸を表面張力に乗せることさえマスターすれば簡単にできるので、ぜひやってみてください。